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故人が生前大切にしていたものを近親者で分けあい、
思い出を語り合う形見分けの作業。
今回は、そんな形見分けにまつわる注意点をまとめてみました。
「形見分け」とは、故人が生前大切にしていたものを近親者や友人と分けることで、日本独特の文化です。遺品を通してそれぞれが故人を偲び、思い出を語り合います。
昔は、丈を直せば誰でも着ることのできる着物が代表的な形見分けの品物とされていましたが、近年はその限りではありません。身にまとうものには魂が宿るという日本人古来の思想からきているともいわれています。
形見分けは必ずしも行わなければならないものではありません。ですが、故人が大切にしていたものを手に取りながら、親しい人たちで思い出を語り合ったり、笑いあったりすることは、悲しみや寂しさでいっぱいの心の中を整理するのに効果的とも言われています。
親族が一同に集まれる機会はそう何度も持てるものではありません。そのため、四十九日に行うことが多いと言われています。ただし、故人が信心深い方であった場合、その宗派によって決まりがあることもあるため、この点については注意が必要です。
多くの場合、四十九日忌明けのときと決められています。
神霊祭の五十日祭の日、または三十日祭の日とされています。仏教でいうところの忌明け法要の日です。神道では法要にあたる儀式のことを神霊祭といいます。
キリスト教には形見分けという文化がありません。しかし、日本においては形見分けが行われることも多く、その場合は、1カ月命日である追悼ミサにて行われます。
今でこそ故人と親しかった人ならだれでも形見分けができるようになりましたが、昔は目上の人に遺品を分けることは失礼だと考えられていました。
現代においても人によっては、古くからの風潮を大切に考えている方もいらっしゃいますので、目上の方については相手から申し出があった場合にとどめておくのが無難といえるでしょう。
形見分けは相続にあたるものです。相続放棄をしていながら、形見分けの際に、一定以上の価値がある物品を譲り受けたとあっては、相続財産の隠匿とみなされ、相続放棄自体が認められなくなってしまうケースもあります。相続放棄後の形見分けについては特に、専門家の相談のもと行うのが良いでしょう。また、高価なものの場合には贈与税が課せられることもあります。親族以外の方へ形見分けを行う場合は特にこの点についても気を付けたいところです。
残された人たちにとって形見分けは、大切なひととの思い出を分け合える、素敵なイベントでもあります。故人との思い出が、形見分けによる思いがけないトラブルで辛いものになってしまわないように、注意すべき点をしっかりと押さえて行うことが大切です。
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